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塑像の実習前半終了

もう12月4日です。10月22日に始まった塑像実習前半の6回が昨日の12月3日で終わりました。あっという間でしたので、今回はまとめて6回分の経過をここに記しておきたいと思います。

これまでも何回か書いてきましたが、6回の実施概要を書くと、
1)ガイダンス、学生同士がモデルとなってスケッチ、心棒立て
2)モデルさんが入る、モデルさんをスケッチ、粘土練り、粗付
3)制作
4)制作を続ける
5)完成に向かう
6)採点(その間に石膏取りの動画を見る)、講評

となります。1回は3時間弱の長さです。第1回目のガイダンスでは、この授業を導入することに関わったものとしてちょっと挨拶をして、これまで同様、この授業がいかに面白いかを強調しました。以下にそれぞれの回の最後に撮影した写真を載せておきます。まずは一回目。
これは味も素っ気もありませんね。ただの心棒を塑像板の上に立てただけです。

続いて2回目。モデルさんの素描と粗付したものです。
さあ、ここから出発です。

第3回目、制作にいそしみました。なんかいびつですねー。
第4回目、何とか特徴を捉えようと奮戦した結果。
でも、女性の顔ではないですよね、男みたい。

第5回、今回がモデルさんが入る最後の回です。仕上げなければ、、。
今回の最後の方で、口元の奥行き感が不足していると、藤原先生に指摘され、顔の左側に手を入れていただきました。それに合わせて右側も自分で直して形を整えました。

第6回です、制作は前回で終わりでしたが、写真に撮ったものを家に帰ってよくよく見ると、左側の頭頂部がへこみすぎています。授業が始まる前に、そっと粘土を付け足しました。その結果がこれです。これで講評に臨みます。
照明のあたり方によって印象が異なるように思えたので、あちこち場所を移動して撮影。

講評が始まりました。最初に全体の講評を、藤原彩人先生と角田優先生から聴きます。モデルさんは4人なのに、並んだ像はどれ一つとして同じようなものはない、ある意味、皆な個性的!全体講評の後、二手に分かれて自分の作品について売り込み(?)をはかり、先生の突っ込み(?)があります。
いよいよ自分の番です。今回は頑張ってやりました、よくできていると思います、と言いましたが、、
藤原先生はまじまじと眺め、冷厳に指摘します、自分に引き寄せすぎている、と。
両手で作品に触った距離と、少し後ろに下がった距離で見た時の見え方、その違いを基に凹凸を作品に反映させること、これが必要なのだということでした。うーん、難しい。
これで講評会も無事終了、後は作品を粘土に戻すだけ、残酷な瞬間です。

こうして6回の授業は無事終わりました。藤原、角田両先生、どうもありがとうございました。帰りに、丸善の前の露店の売り場に立ち寄り、並んでいた洋書の中にあったロダンの彫刻とデッサンの本を購入しました。


塑像実習第2クール始まってるよ

塑像実習は第2クールがすでに始まっています。実は第2クール(つまり半分に分けた後半)は1月5日に始まりました(なんとまあ年明け早々だこと)。その後3週間、間が空いて(1回は成人の日で休日)1月26日に第2回があり、今週の月曜日(2月2日)に第3回がありました。第1回は心棒作り、第2回はモデルさんが入ってデッサンと荒付け、そうして第3回はモデルさんを観察しながら立体にしていくという過程は、これまでと同じです。頭骨の形を考えながら首から上を作っていく、楽しい作業です。まあ、うまくいったかなと思って、終わって写真を撮ってみると何となく違和感があります。正面からとったものはどう見ても、モデルさんとは違います。なんかお面をかぶったような感じ。もちろんまだ髪の毛は作っていないのですが。

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そこへ舘山先生があらわれて、顔の幅が広すぎる、実際はもっとすぼんでいる(とがっている)といい、頬のあたりに鉄ベラで縦に線を入れました。つまりここから外側は削れというわけです。ショックでしたが、確かにお面のように見えるのは、顔を平面でとらえていて、後ろの部分が前へせり出した形で造形しているようです。平面ではなく三次元で制作することの難しさというか、見方が悪いんだと改めて感じます。もう何回かやっているのに、、。来週また頑張ります。


塑像実習第6回

塑像実習第6回目がありました。もう実際の制作は先週で終わりで、今回は講評と作品を元に戻す(つまり壊す)作業です。

いつもの部屋ではなくビデオが移せる部屋に移動し、最初に今日の段どりの説明がありました。ついで先生方が採点をしている間に、以前録画したビデオを使って石膏取りの説明です。粘土の作品は普通は石膏取りをするのだけれど、この授業では時間がないのでそこまではやれません。そこで2010年度に小生が最初に作った作品を東京芸大の舘山先生の部屋(というか制作室)に持ち込んで、夏休みに石膏取りをした過程をビデオ撮影したものを編集して15分ほどにまとめたものを使い、出演者である小生が説明をしました。石膏取りをしたのは、もう4年以上前になるんですね、懐かしい。

採点が終わり、制作室へ戻って作品を並べ、その前にみんなが並んで座り、講評会が始まりました。学生一人一人が自分の作品を改めて眺め、制作過程や出来栄えについて感想や思いを述べていき、先生が講評をしていきます。

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DSCF0005モデルさんは2人いて、6人づつ(確か)がそれぞれのモデルさんを見ながら制作しているのですが、一つとして同じものがない、というかそれぞれが個性あふれる表情をしています。ということはどれもモデルさんの雰囲気を出していないというわけです。もちろん小生のものもです。

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最後に小生の作品も講評のために真ん中へ移動させ、自分としては失敗作で、荒付けからの最初の過程が不十分だった、基礎が大事なんだと感じたと述べました。舘山先生は作品には特に触れずに、全体的な講評をして締めくくりました。

みんな、自分の作品を記念撮影しています。先生も記録としてそれぞれの作品を撮影します。小生も作品をちょっとアングルを変えて撮影しました。正面から見るとどうも男っぽいので、それを隠すためです。

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いよいよ壊しに入ります。4週間かけて作った作品は、あっという間にもとの粘土に戻りました。小生は、自分の作品は壊さず、欠席した学生さんの作品を壊しました。最後に部屋を掃除して、6週間の塑像実習はおしまいです。いろいろありがとうございました。

講師控室の戻って、舘山拓人先生、藤原彩人先生と雑談。これが楽しいのです。受講者の身分でありながら、講師室で先生方と雑談できる、結構刺激的な時間です。大学へ入学する前の基本を修業のように叩き込んだこと、それは対象をあらゆる角度から観察し、本質に迫るように表現することで、個性はその上にこそ盛られること、だそうです。修行の過程での形の本質を再現することは、色や陰影に惑わされずに、形そのものを再現する3Dプリンターによる作品出力に似ているとのこと。いつも感じるのですが、対象を観察して、表現するのか説明するのかの違いはあるものの、芸術全体とまではいわないけれど彫刻と自然科学は、どこか相通じるものがある、ということです。

来年はまた後半が1月からは始まります。そこにも参加させていただこうと思っています(厚かましくも)。これまでの指導をありがとうございました。


塑像実習第5回

塑像実習の第5回がありました。モデルさんが入って制作するのは今回が最後です。舘山先生は、みんなに、ここだけは自信をもって提示できる部分(もちろん全体でもいいけれど)をある程度絞って集中して作るようにと、おっしゃっていました。

これまでも述べてきましたが、モデルさんを観察して制作する時間は、20分が3クール(途中5分休憩)、それから20分休憩が入って再び3クールというスケジュールです。その時間は、あっという間に過ぎてしまいました。うーん、自信をもって提示できるところはどこにもないぞー、という感じです。モデルさんがいなくなってからも、未練がましくしばらく粘土をいじり続けました。

できあがった首像は、どうも女性らしくありません。骨格が正しいスケールではないという指摘を受けました。確かに頬からこめかみの大きさが目鼻立ちの大きさと比べて、ちょっと大きすぎるようです。そのためにに骨ばった男っぽい正面の顔つきになったようです。横顔はまあ許せる気がするんだけどなー。

後半も同じモデルで作りこんだ方がいいのではないかと舘山先生からサジェストを受けました。うーん、、、どうしようかなー。

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塑像実習第4回

12月1日に塑像実習第4回がありました。

前回指摘された、顎の後ろにある凹みを意識して作り直し。その後、顔をいじって何とか形になったかなーと思ったら、またまた先生の厳しい指摘。

頭骨の標本と制作中の塑像を並べて上から眺め、顔面から耳のすぐ後ろまでは逆ハの字をしているはずという点と、頭の前後軸が短すぎる、耳の穴がここならオデコはこのくらいと、粘土の塊を額に付加されました。

せっかく目鼻を作っていたのにすべて作りなおし。その結果が下の写真です。確かに前回よりはバランスがよくなった。まだまだ観察力が足りない。どうもちまちまと作る傾向がるようだ。

残りはあと一回。来週も頑張るぞー。IMG_0019 IMG_0021rtc


塑像実習第3回

11月17日に第3回の塑像実習がありました。忙しかったので脇に置いておいたら、あっという間に1週間が過ぎてしまいました。

第3回は、荒付けが終わって、これからは、モデルをじっくりと観察しながら、粘土を付けたり削ったりして、形を整えていきます。20分のセッションが間の長めの休み時間を挟んで3回づつ、合計6回あるのですが、あっという間に終わってしまいます。モデルを縦、横、斜めと見ながら、スケッチするというのか、作りこむというのか、モデルさんから受ける印象とその形を像として表現しようと努力します。

と、口では言うのは易しいのですが、これが難しい。頭の大きさとか、目じりや  あごの奥の凹みとか、縦、横、斜めから観察しても、どうも平面として見ていて、立体として的確に表現できていないようです。

とまあ、今回の最後にできあがったものを載せておきます。先週の宇宙人からは少し進んだとは思いますが、どうでしょうか。ちなみの横顔の2枚の写真は、Beforeが今回の最後の状態で、Afterは舘山先生にあごの後ろというか耳の下の凹みが捉えられていないと指摘されて、ババッと直されたものです。うーん、なるほど、見えていない、あるいは表現できていない、、。しばし見つめてため息。DSCF0001rtc BeforeAfter


塑像実習第2回

10月27日から始まった塑像の実習、先週は文化の日でお休みで1週間、間があいて第2回目が11月10日にありました。第1回は、講師の舘山拓人先生から、この科目の概要と意義、スケジュールなどの説明があり、学生が代わりばんこに10分間、モデルとなってスケッチしあうことから始めました。モデルさんは20分間なので、その半分ですが、動かないでモデルを務めるって大変なんだというのを実感し、スケッチを重ねて平面に描くための練習です。最後に心棒を作り上げるところまででした。出来上がった心棒の写真を載せておきます。DSCF0006

今日から女性のモデルが入りました。2コマ続きの授業時間の間に、20分間6セッションあるのですが、前半で前回のようにスケッチを行いました。モデルさんが3回目と4回目の間の20分の休みの間に、粘土を練り方の説明があり、体を使って粘土をみんなで練ります。腕を伸ばし手首を使って体重をかけて練りこんでいきます。肉体労働です。DSCF0002手前の塊がこれから小生が練る粘土です。

練りこんだ粘土を使って,荒付けに入ります。舘山先生から説明があり、ささっと説明しながら粘土を付けて造形していきます。うーん、荒付けといってもちゃんとヒトの首像になっている。いつも感心しています。舘山先生が説明しているところをパチリ。DSCF0004rtc

残りの3セッションで、みんなで荒付け。あっという間に終わりました。小生のは宇宙人みたいです。

さあ、この先、この宇宙人はヒトになれるのか、乞うご期待で、次回が楽しみです。


塑像の実習が始まりました

今週の月曜日(10月27日)から東京医科歯科大学歯学部で2年次の学生を対象とした「医療と造形」という科目の中で行われる、塑像の実習が始まりました。

この科目は、東京藝術大学とのコラボの一環として、教養部の科目に「塑像」を中心とした芸術の選択科目を置いたことにさかのぼります。当時、東京芸大の舘山拓人先生に講師を依頼して始まりました。この科目は後に、歯学部との連携教育の中に、文科省の補助金を得て「医療と造形」という科目名に発展し、現在に引き継がれています。

教養部での立ち上げにかかわったので、国府台で行われえいたころはよく覗きに行き、自分でもやりたいものだと思っていました。退職後に、お願いしてこの実習を体験させてもらうことになり、それから病みつきになりました。面白いのです。

思い起こせば新宿高校の時、選択科目で美術をとりました。吉江新二先生というユニークな先生が美術教師としていらしたのです(ちなみに吉江先生は1919年生まれですが、現在でもお元気で活躍しています)。屋外スケッチ用のイーゼルを木材を買ってきて作り、塗装するところから始まりました。何枚かパステル画を描いたことを覚えています。また、油絵をやりたいと道具を揃え真似事をしたことはありましたが、いずれも平面でした。

ところが塑像では立体の作品を作るのです。モデルを観察しながら首像を作るのですが、平面に落とし込むのとは全然違い、いろいろな視点から眺めて、粘土を足し(あるは減らし)て作りこんでいく、その過程がとても楽しめました。

それからはまりました。最初に偉そうに挨拶をするというのを免罪符にして、ずっと参加させてもらっています。10月27日の第一回は、全体の説明と心棒つくりでした。言い忘れましたが、講師は今も舘山先生が勤めています。受講する人数が増えたので、もう一人、藤原彩人先生が講師です。

というわけで、楽しい時間が始まりました。また途中経過を載せます。